「タンニンがしっかりしていますね」。そう言われて、うなずいたものの、何を指しているのかは曖昧なまま。よくある場面だと思います。
ワイン用語とは、味わいや香りの印象を、共通の言葉として整理したもののこと。専門家のためのものではありません。感じたものに名前がつくと、次に選ぶときの手がかりになります。
言葉は、味を作りません。ただ、味を思い出せるようにします。

タンニン
赤ワインを飲んだあと、口の中が乾いたように感じる。歯茎が少し締まる。あれがタンニンです。
ぶどうの皮、種、そして熟成に使う樽材に含まれる成分で、赤ワインでは皮ごと発酵させるため、白より多く含まれます。渋みと言い換えても構いません。
タンニンは、たんぱく質と結びつく性質があります。だから肉と一緒に飲むと、渋みが和らぎ、脂が軽くなる。炭火で焼いた熟成肉に赤が合う理屈の、中心にあるものです。
若いうちは角が立ち、熟成が進むと丸くなる。モナストレルやトロのように、もともとタンニンの強い品種や産地もあります。
アロマとブーケ
香りを指す言葉ですが、二つに分かれます。
アロマは、ぶどう自体と発酵に由来する香り。果実、花、ハーブ。若いワインで前に出てくるのは、この層です。品種の性格がよく表れます。
ブーケは、熟成の過程で生まれる香り。樽由来のバニラや香ばしさ、瓶の中で長い時間をかけて現れる複雑な香り。レセルバ以上の区分のワインで語られることが多い。
両方をまとめて「香り」と呼んでも困りませんが、若い香りなのか、時間が作った香りなのかを分けて考えると、そのワインの現在地が見えてきます。グラスの形や温度で、どちらが強く出るかも変わります。
ボディと酸味
ボディは、口に含んだときの重さのこと。ライト、ミディアム、フル。
何が重さを作っているかというと、アルコール、糖、そして抽出された成分の量です。水と牛乳の違いを思い浮かべると近い。同じ赤でも、ガルナッチャの軽やかなものとリベラ・デル・ドゥエロの凝縮したものでは、ボディがまるで違います。
ペアリングで最初に見るのが、このボディです。皿の重さとグラスの重さを揃える。
酸味は、味を引き締める要素。冷涼な産地や、寒暖差の大きい土地のワインほど酸が保たれます。チャコリやリアス・バイシャスの白が魚介や揚げものに効くのは、この酸が脂を切るからです。
酸がないワインは、間延びします。甘さや重さを支えているのは、たいてい酸です。
覚えておくと役立つ言葉
ミネラル。 石や塩気を思わせる硬質な印象を指します。厳密な定義のある言葉ではありませんが、火山性土壌のカナリア諸島や海沿いの白でよく使われます。
余韻。 飲み込んだあと、香りと味がどれだけ残るか。長いほど評価が高いとされます。
開く。 抜栓後やグラスに注いだあと、時間とともに香りが立ってくること。閉じている状態の逆です。
ドライ/甘口。 糖が残っているかどうか。カバやシェリーでは、この段階を示す専用の表記があります。
言葉が増えると、ラベルの情報も読み取りやすくなり、家で選ぶ一本も決めやすくなります。タパスを並べた食卓で、感じたことを口に出してみる。それだけで、味の記憶は残りやすくなります。ほかのワインの話はコラム一覧からどうぞ。