平日の夜、簡単な料理を作ります。ワインを一本開けたいけれど、明日も仕事。全部は飲みきれない。値段もそこそこに抑えたい。

こういうときの選び方が、家飲みの技術です。店で一本を吟味するのとは、判断の基準が違います。

スペインワインは、この用途に向いています。理由があります。

食卓に置かれたワインとグラス

スペインが家飲みに向く理由

第一に、価格帯の幅が広い。手ごろな範囲にも、きちんと造られたものが多く並びます。

第二に、熟成区分がラベルに書かれていること。ホベン、クリアンサ、レセルバ。この一語で、香りの方向と価格帯がだいたい読めます。ラベルの読み方を少し覚えるだけで、棚の前の時間が短くなる。

第三に、原産地呼称がはっきりしていること。産地名で味の傾向が絞れるので、外しにくい。裾野が広いことも、選択肢の多さにつながっています。

背伸びしないほうが、続く。 日常の一本に高いものを選ぶと、開ける機会そのものが減ります。

産地と区分で絞る

具体的な絞り込み方です。

赤を軽めに飲みたいなら、ホベンかクリアンサ。リオハのクリアンサは価格の割に完成度が高く、最初の一本として扱いやすい。もう少し果実の押しがほしければ、ガルナッチャを主体にしたもの。濃さを求めるならリベラ・デル・ドゥエロですが、こちらは料理を選びます。

白なら、ルエダのベルデホが定番です。酸がしっかりして、価格も落ち着いている。魚介中心の食卓にはリアス・バイシャス。

泡はカバ。瓶内二次発酵で造られながら価格が抑えられていて、家で開ける泡としては選びやすい部類です。ロサードも、料理を選ばない点で常備に向きます。

迷ったら、収穫年の評価より熟成区分と産地を見る。日常の価格帯では、そのほうが実用的です。

開けたあとの扱い

一本を数日かけて飲むなら、残りの扱いが味を決めます。

コルクを戻して、冷蔵庫へ。赤でも冷やして構いません。低温のほうが酸化が遅い。飲むときに常温へ戻せば、香りは開きます。温度による表情の違いを逆手に取る形です。

栓は、抜いたコルクを裏返して差すか、専用の栓を使う。瓶の中の空気が少ないほど持ちますから、小さい瓶に移し替える手もあります。

二日目、三日目で香りが痩せてきたら、料理に使ってしまう。煮込みに入れれば無駄になりません。保存の考え方は、要するに空気と熱と光を減らすことに尽きます。

グラスは、家に一種類あれば十分です。中程度の大きさのものなら、赤も白もこなします。

料理との相性

家の食卓なら、凝った組み合わせは要りません。

パン・コン・トマテ生ハム、これに軽い赤か泡。トルティージャには白でも赤でも合います。アヒージョやきのこなら、酸のある白か軽い赤。

煮込みを作った日は、赤の出番です。ひよこ豆やいんげん豆の入った一皿に、クリアンサあたり。チョリソーを使った料理にも同じで、パプリカの香りと赤の相性はいい。

チーズを少し出せば、それだけで一杯が持ちます。難しく考えず、ペアリングの目安だけ頭に置いておけば、日常の食卓は回ります。ほかのワインの話はコラム一覧からどうぞ。