抜くときの音が違います。コルクは、こもった音を立てて抜ける。スクリューキャップは、乾いた音で回る。

どちらが上等か、という話をしがちですが、実際には役割が違います。ワインの栓とは、中身を守ると同時に、空気の出入りをどう設計するかを決める部品のこと。

つまり栓の選択は、その一本を何年、どう飲んでほしいかの表明でもあります。

横に寝かせて保管されたボトル

コルクという素材

コルクは、コルク樫の樹皮から作られます。樹を切り倒すのではなく、外皮を剥いで採る。剥いだ樹皮は年月をかけて再生します。スペインやポルトガルなど、地中海沿岸の乾いた土地で育つ樹です。

素材としての特徴は、圧縮すると縮み、元に戻ろうとする力が長く続くこと。瓶口に押し込めば、内側から押し返し続けて密閉します。

そして、完全には密閉しません。ごくわずかに空気を通す。この微量の空気が、瓶の中でゆっくりとした変化を起こします。長期熟成を前提とするワインがコルクを選ぶのは、この性質のためです。レセルバやグラン・レセルバのように、時間そのものを味の一部にする一本には、この栓が要る。

コルクの弱点

天然の素材である以上、当たり外れがあります。

最大の問題は、コルクに由来する汚染です。特定の物質が生じると、湿った段ボールのような不快な匂いがワインに移る。これが起きると、その一本は本来の香りを失います。テイスティングで最初に確認するのは、この点です。

もうひとつ、乾燥に弱い。コルクが乾いて縮むと、隙間から空気が入り込みます。だから瓶を横に寝かせて、コルクを液体に触れさせておく。保存で湿度が問われるのは、この理由によります。

さらに、開けるのに道具と手間が要ります。古い一本ほどコルクは脆く、途中で折れることもある。デカンタージュが必要な古酒では、この作業が最初の関門になります。

スクリューキャップという選択

金属のキャップを回して締める方式です。

利点は明快です。汚染の心配がほとんどない。乾燥を気にせず立てて保管できる。開けるのに道具が要らず、飲み残しはそのまま締め直せる。

密閉性が高いため、瓶の中の変化は緩やかになります。だから、買ってすぐ飲むワインに向く。果実の香りをそのまま届けたいロサードや軽やかな白、リアス・バイシャスのような酸の張った一本では、この方式が理にかなっています。

安価なワインの栓、という印象を持たれることがありますが、それは慣習の問題です。栓の形式と中身の質は、直接には結びつきません。原産地呼称の基準も、栓の種類までは指定しないのが一般的です。

要は、どちらを選ぶかが設計の一部だということ。長く置くならコルク、早く飲むならスクリュー。それだけの話です。

料理との相性

食卓の側から見ると、栓の違いは段取りに効きます。

コルクの一本は、開けるところから時間が要ります。だから、じっくり進む夜に向く。薪火で焼いた熟成肉骨付きの一枚を待つあいだに、ワインも開いていく。食後に居座るソブレメサまで、一本で通せます。

スクリューキャップは、気軽な場面に強い。タパスを何品か並べる夜や、バルの立ち飲みのような回転の速い時間。飲み残して締め直せるのは、メニュー・デル・ディアのような昼の一杯でも助かります。

ピンチョスを軽くつまむとき、アセイトゥナスピコスをつまむとき。栓を開ける手間がないだけで、その場の空気は変わります。

栓は中身を語りません。けれど、その一本がどう飲まれることを想定されたかは語る。ペアリングを考える前の、ささやかな手がかりです。ほかのワインの話はコラム一覧からどうぞ。