赤か、白か。ワインリストを前に多くの人がその二択で悩みます。そして、その悩みをまるごと引き受けてしまう三番目の答えがある。
ロサード(Rosado)とは、スペインで造られるロゼワインのこと。薔薇色のグラスの中には、赤ワインの果実味と白ワインの爽やかさが同居しています。暑い季節にも、気軽な食事にも。構えずに開けられる一本として親しまれてきました。
薄めた赤、ではありません。造り方も、選ばれる理由も、ロサードには独自の筋があります。

ロゼワインの造り方
ロゼの色は、赤ワインと白ワインを混ぜて作るものではありません。黒ぶどうの果皮から、そのまま引き出されたものです。
黒ぶどうを搾り、果皮を短い時間だけ果汁に漬け、頃合いで取り除く。それだけで果汁は淡い薔薇色に染まります。漬ける時間が長ければ濃く、短ければ淡く。色は造り手が決める、意志の表れです。同じテンプラニーリョから赤も薔薇色も生まれるのは、この一手間の長さの違いにすぎません。
果皮と長く付き合わないぶん、タンニンは控えめ。骨格は白ワインに近く、軽やかで飲み口が素直になります。
味わいと特徴
いちご、さくらんぼ、柑橘。グラスに鼻を寄せると、そんな果実の輪郭が次々に現れます。そこにさわやかな酸。冷やせば、魅力は一段はっきりします。ワインは温度で表情を変えるというのは、ロサードでこそ実感しやすい話です。
甘いイメージを持たれがちですが、現在は辛口タイプが主流。だから食事の邪魔をしません。
主要な産地と品種
スペインでロサードといえば、北部のナバラ地方。ここが名産地として名を通しています。主役を張る品種は、果実味の豊かなガルナッチャ。テンプラニーリョが使われることもあります。ワインの素性は原産地呼称によって守られており、産地の名はそのまま味の見当になります。

料理との相性
守備範囲の広さが、ロサードの本当の価値です。パエリア、タパス、生ハム。魚介にも肉にも角が立たず、薪火で焼いた野菜のような香ばしい一皿にもすっと入っていきます。赤か白かで決められない食卓——つまりほとんどの食卓で、頼りになる一本です。