切り口の赤が、目に飛び込んでくる。あれは唐辛子の辛さの色ではありません。血の色でもない。乾いた土地で保存食を作ってきた人々が、香りと日持ちを同時に手に入れようとした結果の色です。
チョリソー(Chorizo)とは、豚肉をパプリカ(ピメントン)などで味つけし、腸に詰めて熟成・乾燥させたスペインの腸詰。鮮やかな赤と、パプリカ由来のスモーキーで少しスパイシーな風味。一本の腸詰に、その土地の保存の知恵が宿っています。

チョリソーとは
個性の出どころは、たっぷり使われる**パプリカパウダー(ピメントン)**です。燻した香りをまとうこのスパイスが、あの赤色と香りを同時に連れてくる。甘口(ドゥルセ)と辛口(ピカンテ)があり、地方や作り手で風味は変わります。
ひとつ注意したいのが名前です。メキシコのチョリソーは生の挽き肉状で、まったく別物。スペインのものは乾燥・熟成させた腸詰——同じ言葉が、海を越えて姿を変えた例のひとつです。
生・加熱タイプの違い
同じ売り場に並んでいても、役割は正反対です。そのまま薄切りで食べる熟成タイプと、煮込みや焼きに使う生タイプ。
前者は生ハムと同じ土俵で、前菜やタパスとして。後者は火を通してこそ働き、パエリアやコシードのような煮込みに脂と赤い香りを溶かし込みます。買うときに間違えると、思っていた料理になりません。
エンブティード(腸詰類)の仲間
スペインの腸詰は、チョリソー一族だけではありません。総称して「エンブティード」。にんにく風味のサルチチョン、豚の血で作るモルシージャ——土地が変われば、詰めるものも変わります。
一頭の豚を余さず使い切る。塩と時間で日持ちさせる。素朴で滋味深いカスティーリャの食卓から白いんげん豆を煮込むアストゥリアスのファバダまで、この文化はスペイン中に散らばっています。
楽しみ方
薄切りにして、パンやチーズ、オリーブの実と一緒に並べる。それだけで前菜が一枚完成します。
合わせるなら赤。テンプラニーリョやガルナッチャ主体の一杯が、パプリカの香りを受け止めてくれます。時間が育てたものには、時間が育てたものを。ほかの料理は、コラム一覧からご覧いただけます。