大きな容器に、切った果実と氷。それを囲む人の数だけグラスが並ぶ。サングリアは、ひとりで静かに味わう飲み物として設計されていません。

サングリア(Sangría)とは、ワインに果実やスパイス、甘みを加えて作る、スペイン・ポルトガル発祥の飲み物です。鮮やかな赤色と、果実のフルーティな味わい。暑い季節に冷やして楽しむ陽気な一杯として、いまでは世界中で愛されています。

なぜワインに果実を混ぜるのか。名前の由来から作り方、そして楽しみ方までを見ていきます。

果実の入った赤いサングリア

名前の由来

名前の出どころは、少し物々しい。「血」を意味するスペイン語 sangre です。あの深く鮮やかな赤を、血の色になぞらえて名づけられたといわれます。

とはいえ中身はまったく気楽なもの。もとは家庭で飲まれてきたテーブルワインのアレンジであり、格式とは無縁の日常の一杯でした。ワイングラスの形を選び、香りを吟味する——そういう楽しみ方とは対極にある飲み物です。

基本の材料

土台はワイン。ただし、いいものを持ち出す必要はありません。むしろ手ごろなテンプラニーリョなどの赤ワインが向いています。果実とスパイスを加える飲み物ですから、繊細な個性はどうせ隠れてしまう。

そこにオレンジやレモン、りんご、ベリー。太陽をたっぷり浴びたスペインの果実を切って漬け込み、砂糖やはちみつで甘みを、シナモンなどのスパイスで香りを足す。仕上げに炭酸水やソーダで割れば、口当たりはぐっと軽くなります。

果実の甘みと酸味、香りがワインに溶け込む。それだけで、ただのテーブルワインが驚くほど華やかな顔になります。

赤・白・カバのサングリア

定番は赤ワインベースの「サングリア・ティント」。ただ、これが唯一の形ではありません。

白ワインで作るさわやかな「サングリア・ブランカ」にも根強い人気があります。スパークリングのカバで仕込めば、泡立つ祝祭のような一杯に。軽やかなロサードを土台に選ぶ手もあります。ベースを差し替えるだけで、表情がまるごと入れ替わる。ここがサングリアの自由なところです。

作り方の基本

家庭で作るなら、順序はこうです。果実を食べやすく切り、ワインと甘み、スパイスとともに容器へ。あとは冷蔵庫で数時間から一晩。

コツは待つこと、それだけ。果実の風味がワインに移るには時間が必要で、急いで混ぜても薄いだけです。炭酸で割るのは注ぐ直前。たっぷりの氷とともにグラスへ。漬け込んだ果実も、忘れずに一緒にいただきましょう。あれは飾りではなく、具です。

果実たっぷりのサングリア

楽しみ方と注意点

サングリアは、大きな容器で作ってみんなで分け合うのにぴったりの飲み物です。パエリアタパスを囲めば、それだけで地中海の食卓の空気が立ちのぼります。少量ずつを分け合うという点では、バルの作法とも同じ血が流れています。

ひとつだけ注意を。果実の甘みで口当たりがよくても、ベースはあくまでワインです。飲みやすさとアルコール度数は別の話。飲みすぎには気をつけてください。もっと軽くいきたい夏の日には、赤ワインを炭酸で割った「ティント・デ・ベラーノ(夏の赤)」という選択肢もあります。

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